踵部底面内側の痛みに対するインソール処方

「踵が痛くて歩けないんです」

1ヵ月前より、左足部の踵あたりの足裏に痛みを感じはじめ、「足底腱膜炎」の診断を受けられたとのことでした。
実は、昨年より右の第Ⅱ趾の疼痛があったようです。

「朝起きてすぐに体重をかけられないくらい痛くて・・・」

 

典型的な足底腱膜炎の症状だと思われ、局所評価を行いました。

圧痛点は、「左側の踵骨底面の内側中央部分」で、はっきりしていました。
足趾・足関節の背屈や筋の収縮時痛・伸張時痛などはなく、圧痛が明確な所見でした。

この場合、「荷重によるメカニカルストレス」が直接的な痛みの発生の機序になっている可能性が高いです。

そのように予測をした上で、姿勢・動作の観察・分析を行います。
特に、立位や歩行の中で「疼痛の出るタイミング」を把握し、その結果、インソール処方の方向性を決定していきます。

1)立位

左側の踵の内側が接地し、荷重がかかればかかるほど疼痛が増強しました(左図)。

また、踵内側を浮かすよう後足部を回外させ、免荷(体重をかけないようにすること)することで疼痛はなくなりました(右図)。

立ちあがったすぐの荷重はとても痛みが強いようでした。

このように痛みを逃避するために足底外側での接地を続けることで、下腿が外側に傾斜します。
結果、二次的に膝関節周囲へのストレスや、姿勢の悪化につながるので長期間の「疼痛回避姿勢」は良くないです。

2)歩行

左足が接地したタイミングから疼痛が出現していました。

右脚が上がり、左脚だけの接地(片脚立位)になったときも持続して疼痛は出現していました。
このとき(下図の左)、体幹が外側に傾斜し、足底外側部分での荷重が優位になっています。
これは、踵内側の痛みを軽減しようと疼痛を回避している姿勢戦略となっていると予測されます。

また、痛みのある左下肢の立脚に注目しがちですが、実は「右下肢の支持・運動機能」が重要なポイントになっています。

上の図(右)のように、体重(重心)が右下肢に乗っていません。
右下肢は痛みはありませんが、体重をかけていったときにそれを支える機能が不足していると考えられます。
それは、頭部が右傾斜、右肩が下方傾斜し、左側の骨盤が下制していることから、体幹機能や股関節機能の低下が予測されます。
実際、右下肢の筋力は低下しており、既往であった「昨年の第Ⅱ趾の痛み」が関係しているかもしれません。

右下肢での支持ができない分、体重はすぐに左下肢に流れてしまいます。
そうなれば、急激な荷重ストレスが繰り返し、「左の踵部」に加わることになります。

 

3)テーピング評価結果

そこで、テーピングとパッドによる評価を行いました。

結果、姿勢・歩容の変化がでました。そして、「疼痛の軽減」も図れました。
右立脚での頭部と体幹の右傾斜は残存していますが、軽減しています。
左立脚での重心位置は「過度な外側支持は軽減」しています。

裸足歩行とテーピング歩行での差がわかりやすいよう以下の図を作成しました。

 

左の図が、左側の立脚です。
右の図が、右側の立脚です。
明らかな変化が姿勢にも出ていますし、「疼痛の軽減」という変化が最も重要です。

また、この図は前額面上になりますのでわかりませんが、「左踵の痛み」については矢状面上での変化が重要です。

両図の左側の写真の裸足歩行の“背中あたり”をみてもらえるとわかりますが、背筋が丸くなっていることがわかります。
この場合、重心が後方化しやすく、踵に荷重が残ることで痛みが出やすくなります。

そこで、後足部を回外誘導することで体重・身体重心の前方移動を早めることで踵への荷重ストレスを軽減することができます。
テーピングの図では、背筋が伸びていることがわかりますが、痛みの改善に姿勢は非常に重要になります。

結果、右下肢の前足部での支持性も高まったことで、左踵への急激な荷重ストレスも軽減し、疼痛軽減につながったと考えられます。

そのような姿勢・動作の分析を含めた評価結果を踏まえて、インソールの作製を行いました。

4)インソール歩行
裸足歩行との変化を作図しました。

パッと見てわかるのは、頭部と体幹の位置かと思います。
右下肢の立脚は、体幹・股関節機能の低下があるため不十分ですが、「まっすぐな姿勢(正中化)」に近いです。

この時点で、左踵部の痛みは残存していますが、残り「3/10」程度とのことでした。

「しっかりと体重をかけて歩けている感覚は久しぶりです」と喜んでいただけました。

インソールに関しては、以下の点に注意して作製しました。

□ 左踵部の疼痛部位の「免荷」 → パッドにて荷重ストレスを軽減

□ 踵重心(後方重心)を軽減し、早期に重心を前方に移動 → 前足部機能向上のためのパッド処方

□ 右下肢の支持性の向上 → 左側への急激な重心移動を避けるための足部アライメント調整

5)インソール調整

約1カ月後に、調整にきていただきました。
理由は、「新しく靴を買い替えたため、インソールを合わしてほしい」とのことでした。

この時点で、疼痛は徐々に軽減してきており、現在では仕事復帰もされたとのことでした。

セルフケアとトレーニングの指導も最後にさせていただきました。

やはり、インソールだけは全てを解決できませんし、更に改善を図れるために他の方法(トレーニングなど)も必要となります。

クライアント様の満足度を少しでも高められるよう、いろいろな視点からアプローチすることが重要であり、

姿勢や動作から得られる情報なくしては、「本質の改善」には至らないと改めて感じました。

難しい限りですが、可能性があるのであれば追及していきたいと思います。

 

【↓↓↓過去の掲載分もご覧ください↓↓↓】

● http://isoulworks.com/2017/09/04/latthighpainrunner/

● http://isoulworks.com/2017/08/24/achillespaininsole/

● http://isoulworks.com/2017/08/05/kneepainbodycareselfcare/

 

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● http://isoulworks.com/iritanisikidounyuseminer20171022/

 

 

 

 

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