理学療法士を目指すきっかけとなった「野球肘」
19年前、理学療法士になり、スポーツ障害のリハビリに携わることのできる病院に就職できました。
その病院は「スポーツ傷害理学療法研究会(現・アスリートケア)」の事務局になっており、就職と同時にスポーツ障害を学べる環境でした。
甲子園大会での「メディカルサポート(現・健康支援活動)」は、社会人1年目から参加し、病院という現場では経験できない貴重な学び場でもありました。
投球障害、野球に関する応急処置やコンディショニングなどを学びつつ、甲子園大会での経験を積み、U18侍JAPANの帯同理学療法士として2013年に台湾での世界大会に行かせていただけることとなりました。
その後、2015年の自国開催の世界大会にも帯同させていただき、本当に貴重な経験を積ませてもらいました。
毎年、夏の甲子園大会後に「U18侍JAPAN」の国内合宿がありますが、そちらにはこれまでの経験を活かせるよう入らせてもらっており、今年も2日間だけではありますが参加しました。
今年は、偶然にも「大学侍JAPAN」との壮行試合の日となり、4年前に共に闘った選手が4名選ばれており、久々の再会もできました。大学JAPANNにも選ばれた4名には本当に敬意を表したいです。
試合は、ご存知の通り「5対5」の引き分けとなりましたが、これまででもっとも高校JAPANが善戦した試合となりました。
「危うく負けるところでした。ピッチャーめちゃいいですね!」
投手力に自信の持てる試合になったと思います。
我々、理学療法士はベンチ裏で待機しています。
アクシデントがあった場合に選手に対する処置、登板後の肩肘のアイシングなどを準備して試合の状況を確認しています。
※甲子園大会も同様です。
試合前は、宿舎でのコンディショニングや試合に向けたテーピング、ウォーミングアップなども行います。
試合後は、投手に対する個別クーリングダウン、野手に対するクーリングダウン、アクシデントがあった選手への応急処置などを行います。
宿舎では、コンディショニングルームを設置していますので、選手が順番に訪れるのでひとりずつ必要なコンディショニングを行っています。
日本のトップレベルの選手でさえも、身体に問題を抱えている選手は多く、トレーニングをして機能向上を図るべき選手も多々います。
そのため、我々理学療法士もそんな選手たちの今後も見据えたトレーニングやセルフケア方法など伝えていく必要があります。
甲子園大会では、昨今トレーニングをする機会はほとんどありません(以前はありました)。
なので、普段の臨床現場での経験だけでなく、それ以外での学びの機会を持たなければ、到底トレーナーとして務まりません。
国内合宿であっても、大会に帯同するにしても、やはり我々理学療法士のスキルが伴っていないことにはチームの力にはなれませんので、関わりを持つためには「常に学ぶ姿勢」が必要であることを感じました。
毎年のように注目選手が出てきますが、普通よりも野球の少し上手な高校生です。
まだまだ、今後に成長の期待できる選手たちばかりですが、怪我もしやすいです。疲れも相当蓄積しています。
今年の韓国での世界大会は、残念な結果であったことは間違いありません。
選手や首脳陣、チームスタッフ、そして関わってきた理学療法士も本当に悔しい思いでいっぱいです。
「もっとできることがあったのではないか・・・」
優勝できなかったことで、メディアや世間からのクレームは当たり前に受けます。
その中で反省点や課題を見つけ、次の世代に活かすことが必要であると感じます。
選手たちは、この経験が次のステップアップに必ずつながります。
これからの侍JAPANを担う選手になって、また「JAPAN」の日の丸を背負って闘う姿をみせてほしいです。
※2日間だけサポートだけのスタッフなのに偉そうなこと言ってすみません…
そして、我々理学療法士もチームの力となれるよう更なるレベルアップを図る努力を怠らないよう精進しましょう。
今後もU18侍JAPANだけでなく、野球選手に関わりを持ち、最良の技術を提供できるよう頑張りたいと思います。
アイソウルワークス
伊佐地 弘基