外反母趾の痛み(足指の痛み)とインソール処方の一例

「2~3か月前から右足の親指が痛い」

仕事中、ほぼ立ちっぱなし。

少しずつ右の母趾に痛みが出現し、歩行時にも痛みが出現。

徐々に痛みがひどくなってきているため、インソールの作製に来られました。

 

【初期評価】

●裸足歩行

右下肢に注目します。
・立脚初期の踵接地が認められず、足底外側で接地し足部回内が急激に出現
・足関節背屈運動制限によるアンクルロッカーが不十分
・立脚中期前半で膝伸展位でのロッキング?
・ヒールオフ直後の急激な膝の屈曲・軽度外旋運動出現(特に右側)
・蹴り出しが外側優位
・左側蹴り出しから右への墜落様の動きあり

→この動画では痛みはなく、疲労もしていない状況のため、長時間の立位後の歩行がどうなるのかを予測します。
しかし、この歩容が右母趾へのストレスになっていることは間違いありません。
そのメカニカルストレスをどのように分析して、軽減させるかが重要です。

●静的アライメント

・両側とも後足部は回内方向に柔軟性が強く、足部内側アーチも比較的低めで、特に左側が回内しやすい。
・内側のアーチ(舟状骨高)が低く、外反母趾も認める。
・下腿は直立位が強く(右が特に)、左の踵骨傾斜角は若干外反位。
・右膝ロッキング傾向あり。

→足部の剛性は低く、特に後足部の柔軟性が高いため、身体の土台である足部の不安定が認められる。

●筋緊張
・両側下腿外側(腓骨筋群)の高緊張あり ※特に右側で強く、長腓骨筋(++)
・両側下腿内側(後脛骨筋、ヒラメ筋)の高緊張あり
・両側下腿前面(前脛骨筋、足趾伸筋)の高緊張あり

→全体的に筋緊張は高く、足部の剛性の低下が原因であると考えられる。右側下腿外側の高緊張は歩容との関連がある。

 

【インソール作製後】

●歩容の変化
前半の歩行の特徴(右下肢)との変化をまとめます。

・立脚初期の踵接地が認められず、足底外側で接地し足部回内が急激に出現
→踵接地を認め、足底外側から母趾球側へとゆったりとした円滑な重心移動となっている

・足関節背屈運動制限によるアンクルロッカーが不十分
・立脚中期前半で膝伸展位でのロッキング?
→下腿の前傾運動が出現し足関節背屈に伴う膝関節の屈曲運動と骨盤の前方移動が認められる
→股関節も稼働しているため、歩幅も増大している

・ヒールオフ直後の急激な膝の屈曲・軽度外旋運動出現(特に右側)
→上記同様、足関節背屈運動の向上により、下腿が前方に傾斜しやすくなったため股関節外旋運動が軽減している

・蹴り出しが外側優位
→母趾球での蹴り出しが優位に。急激なCOP内側移動も軽減している

・左側蹴り出しから右への墜落様の動きあり
→左側後足部の過度な回内運動を制動することで足部の剛性が向上し、前足部である足趾までしっかりと荷重し支持できていることで墜落は軽減してる

 

【作製したインソール】

 

【最後に】

「作製したインソールを使い始めたら、今までの痛みがでなくなりました!!」

とご連絡いただきました。

外反母趾などの「足指の痛み」、タコやマメなどの「足裏のトラブル」。

よくありますが、痛みの部位に体重をかけないようにしたり、クッションを入れたり…

多少効果はあるかもしれませんが、長続きや劇的な変化は得られません。

なぜなら、その痛みは「何かの問題の結果として起きている」からです。

その原因を探り、介入しないと本質的な変化は得られません。

勿論、インソールを購入したり、作製したからといって、「姿勢や動き」を確認して評価しなければ良い結果は得られません。

足のことでお困りの方は一度ご相談ください。

ご連絡お待ちしております。

 

**過去のインソール処方の解説**

○ アキレス腱の痛みとインソール

○ 扁平足と術後ランナーのインソール

○ 踵(かかと)の痛みとインソール

○ 膝外側痛に悩むランナーのインソール

 

 

 

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