ヒトが活動する上でまず大切なのは、
「mobility」=「可動性」
と考えています。
可動性は「関節が動く」ことを指しますが、可動性が制限される要因はさまざまです。
☑ 筋が硬くなる(伸びにくくなる)
☑ 関節(関節包などの結合組織)が硬くなる
☑ 筋膜や皮膚の動きが硬くなる
などなど細かく分けるともっと要因はあります。
そして、大切なのは
「動きの中で関節をしっかり動かせるか」
です。
動きの中というと、歩行や走行、しゃがみ込み、ジャンプなど日常生活からスポーツ動作までヒトが活動するすべてを指します。
そのため、「動きながら筋を伸ばす」ことはとても大切です。
筋が硬くなれば、関節も動きにくくなります。
筋も関節も大きく動かすことが重要なので、その方法について解説します。
このページでは、
「股関節のモビリティ・エクササイズ」
についてご紹介します。
股関節が硬くなると、「腰痛」や「膝痛」の原因となります。
スポーツにおけるパフォーマンスの低下も間違いなく起こります。
①大腿前面ストレッチング
大腿前面の筋群は、股関節を屈曲させ、膝を伸展させます。
側臥位となり、上側の脚を前方に出して曲げ、下側の脚を後方へ曲げます。
上側の手で後方に曲げた脚の足部をつかみ、膝を更に後方へと移動させ、踵をお尻につけるよう膝を曲げてきます。
大腿の前面が伸びている感覚があればいいです。
腰を反りやすい姿勢となるため、腰痛のある方は無理しないでください。
ですが、このストレッチは腰痛のある方に有効なことが多いので注意しながらやってみてください。
②大腿後面ストレッチング
ハムストリングスは股関節を伸展、膝関節を屈曲させる筋肉です。
まず、大腿部をお腹に引き付け、息を鼻から吸います。
大腿部を引き付けたまま、膝を伸ばして、踵を天井に向けて挙げていきます。この時、口からゆっくり息を吐きます。
太腿の裏が伸びている感覚があればいいです。
息を吐き終わったら、膝を軽く曲げてストレッチを緩め、また息を吐きながら膝を伸ばしていきます。
ハムストリングスは姿勢保持やスポーツ動作において股関節を使うため欠かせない機能を持っています。この筋肉をうまく使えるかどうかでスポーツにおけるパフォーマンスが大きく変わり、膝痛の改善に必要な機能を持っています。「体幹が弱い」場合、この筋肉が硬くなって短縮していることが非常に多いです。
③股関節前後開脚ストレッチング
大きく前後に脚を広げ、股関節の前面・内側、後面・内側の筋群をストレッチします。
可能な範囲で前後に脚を広げ、骨盤を床に近づけます。
まずは両手を前脚の膝の内側に接地させ、脊柱(背骨)を伸ばしつつ、骨盤を下していきましょう。息を止めず呼吸をゆっくり行いながらです。
次に、前脚の反対側の肘をゆっくり床に接地させます。
そして、可能であれば、前脚と同側の肘もゆっくり床に接地させましょう。
これが硬いと、股関節は十分に可動できません。
スポーツをやっている方であれば、この動きは確実にできるようになって欲しいです。怪我の予防やパフォーマンスアップにつながります。
④股関節内転筋ストレッチング
股関節の内側にある内転筋群をストレッチします。
まず、四つ這い姿勢から股関節を側方に開いていきます。
背中が丸くならないよう伸ばし、おへそを床に近づけるようにします。
お尻の穴をうしろの壁に近づける気持ちでリズムよく軽く運動を行います。
内股が避けるような伸張感があればいいです。
内転筋は急に伸ばすと痛めやすいので、ゆっくり段階的に伸ばしていきましょう。
股関節を側方に広げる動きは日常生活ではあまりありませんがスポーツ活動の中では大切な動きとなります。この内転筋の柔軟性が低下することで股関節の前後への開き運動も制限されます。
⑤臀部筋群のストレッチング
股関節の後面筋である殿筋群のストレッチです。
片側の下肢をあぐらをかくよう(膝は90°くらい)に曲げて、反対の下肢を後方に伸ばします。
前脚の太ももにおへそを近づけるように前傾すると前脚のお尻に伸びる感覚があればいいです。
ポイントは、背中を丸めず、胸を張ったまま、おへそを太ももに近づけましょう。
ゆっくりと呼吸をしながらストレッチすることが大切です。
【最後に】
股関節の可動性は、ヒトが活動する上で非常に重要です。
そして筋力も重要です。
四つ足動物から2足直立姿勢になったことで股関節機能は大きく変化しました。
座っている姿勢が多い人は股関節の前面が硬くなりやすく、腰痛の原因もなります。
柔軟性はしっかりキープしておきたいです。