vol.88 バイオメカニズム学会誌への寄稿

大変お世話になっている先生よりご依頼いただきました。

バイオメカニズム学会」は55年ほどの歴史ある学会で、約半数の会員が工学系の方であり、「ロボット工学・整形外科学・リハビリテーション医学・福祉工学・体育学・人類学・解剖学などの指導的研究者」など他分野の方々が集まられているとお聞きしました。

工学系となると私の臨床からは少し外れてしまう感もあり、戸惑いもありましたが、恩師からのご指導の下、なんとか執筆することができました。

「機器による動作分析」ではなく、「観察による動作分析」は客観性に欠け、主観性が強いものになってしまいますが、臨床現場では絶対に欠かせない評価方法となります。

セラピストによる主観が強いため、セラピストによってその観方は多少なりとも異なってくることは否めませんが、現場では「結果がすべて」であり、「即効性」が求められます。

ですが、なんとなくでの動作分析では結果は伴いません。

目の前のお困りのクライアント様に対して、今すぐにできる何かを見出し、少しでも変化を出すことが臨床では絶対に必要となります。

だからこそ、「機器による動作分析」に負けず劣らずの「観察力」が必要となります。

 

 

正確な動作観察・分析力は、細かな客観的数値は出せませんが、臨床での効果、即効性を確認するためにはセラピストに最も求められる必須スキルです。

そのスキルを高めるためには、「観ること」を繰り返し繰り返しトレーニングとして行い、局所症状などの機能障害と全身運動である動作との関連性を結び付けていくプロセスを何度も何度も意識的に行うことです。

そうすることで、動きの中で痛みの要因である「力学的ストレス集中」が見えてきます。

そして、その力学的ストレス集中の要因となる機能不全が推察できます。

 

☑ 身体アライメント(骨・関節アライメント)

☑ 各関節のmobility

☑ 各関節のstability

☑ 姿勢・動作と上記機能面の関係性の分析

 

原稿の内容もそうですが、私が臨床で意識しているポイントを上記に挙げました。

文字だけなら簡単に挙げられますが、実際には相当難しいと感じています。

日々の臨床でどれだけ意識的に取り組めるか、そこがすべてであると感じています。

私は完璧ではありませんし、まだまだ未熟です。

 

“痛みを軽減できない”

“不調を軽減できない”

“悪しき動きを修正できない”

 

適切な介入で、より即時的に変化を出すことができるはずですが、できない場合は「評価不足」です。

適切な評価を行うことが、「障害の本質」を導き出すことができます。

そうすれば、何をすればいいのかが明確となり、比較的容易に痛みを軽減することができます。

そんなスーパーなセラピストを目指し、これからも精進していきたいと思います。

 

 

今回の執筆は、自身の理学療法における考え方について改めて気づきを与えてもらえたいい機会となりました。インソールによる動きの変化、それに伴う痛みの変化について解説していますが、多職種の方にわかりにくい用語や解説があったかと思います。また、主観的な分析ばかりであるため、貴会の会誌に相応しくない内容と思われた方もおられるかもしれません。臨床では、観察による主観的分析は絶対であり、治療の効果検証は動作時の痛みや不快感の変化、そして動きの変化として捉えます。結果を出すことで観察による分析の正確性、信憑性が少しでも高まるよう自身のスキルアップに努めたいと思います。そして、これからも執筆やセミナーという形で「自身の臨床を形に」し、アウトプットしていければと思います。

最後に、私を執筆者として推していただいた橋本雅至先生をはじめ、貴会の運営にご尽力されている皆様、ご協力いただいたクライアント様に深く御礼申し上げます。

 

【動画】

ご協力いただいたクライアント様のご厚意により以下に動画を掲載させていただきます。

会誌をご覧になっていただいた方のお役に立てられれば幸いです。

 

①裸足歩行

 

②裸足走行

 

③インソール歩行

 

④インソール走行

 

理学療法士

伊佐地 弘基

 

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