急性の膝関節痛に対するボディケアとセルフトレーニング指導

先日、「膝を痛めてしまい、困っているのでみてほしい」と急な問い合わせがありました。
話を聞くと、前日少し走ったあとに違和感を覚え、翌朝歩くことが大変なくらいの痛みであったとのことでした。
その日の夕方に急遽、来店されたので評価と簡単なケアを行うことで、痛みが改善したため、まとめてみました。

まず、疼痛の出ている左膝は、10年前に外側半月板の切除術をされた経歴がありました。
それから、膝の機能はあまり良くなく、内側広筋は弱化し、大腿外側筋群による制御がメインとなっていたようです。

また、前日の様子ですが、いつもより小気味よいステップを踏んだり、小走りをしたそうで、下腿後面筋への負荷がよくかかる活動をしていたと予測されました。勿論、そのときは膝の痛みはなかったとのことでした。

まずは、病態評価を行いました。
結果、多くの問題が検知されました。

●局所所見 : 膝関節の腫脹(水腫)(±)、熱感(-)、発赤(-)
●圧痛 : 膝蓋骨外側の靭帯組織・大腿筋膜長筋・外側広筋(++)、下腿後面筋(+++)、膝蓋骨下端から外側深部にかけたFad pad(+)、鵞足(++)
●疼痛 : 膝伸展最終域 ※完全伸展への恐怖心、Qセッティング時の痛みあり
●筋機能 : Qセッティング時の内側広筋の収縮能の低下、外側広筋の過緊張、屈曲位での膝伸展力ありも伸展位で出力激減
●筋コンディション : 下腿後面筋のtightness(+++)、ハムストリングスtightness(++)、大腿筋膜長筋・外側広筋・大腿二頭筋hightone(+++)
●可動性 : 足関節背屈(↓↓)

そして、下肢アライメントです。

右のO脚様の内反気味アライメントも気になりますが、左はやや外反気味なアライメントになっています。
かつ、膝は伸展位でのロッキング傾向も見受けられます。
このアライメントから既に上記の問題点とのリンクができ、原因の予測ができます。
歩行観察をすれば、更にその問題点との関連を深く推察できます。

ここで、非荷重下のテストで痛みがでることがまず改善すべき点として注目しました。

 

それは、「Qセッティング」です。

以前から内側広筋にうまく力が入らず、そこからのASLRもできなかったとのことでした。
そのため、単純に内側広筋の筋萎縮がありましたが、今回はそれが更に悪化していました。
まずは、内側広筋が促通されない原因が重要です。以前から弱い、萎縮があるからといって単純にトレーニングすることは間違っています。
「膝関節である大腿脛骨関節、それに隣接する膝蓋大腿関節」が正常に可動しているか、それを他動的、または自動介助で確認をします。
その中でも、膝関節の伸展位が確実に取れているのか、これが根本的に達成できてなければQセッティングは不十分のままです。
そして、内側広筋より外側広筋優位なQセッティングとなってしまいます。これで強化してしまったら荷重下において問題が生じます。

 

では、なぜ膝が完全伸展できないのか・・・です。
それは、膝関節の腫脹もありますが、これまでの荷重下での姿勢制御パターンが関与しています。
今回、前日に“よく動いたこと”と“全身アライメント”から推察が可能でした。

まず、外側広筋や大腿筋膜長筋への依存が強い、そして膝関節を屈曲させる作用を持つ大腿筋膜長筋と大腿二頭筋のhightoneを軽減すべく、この3つの筋に対してマッサージおよび筋膜リリース、ストレッチングを実施しました。
結果、直後のセッティングはやりやすくなりましたが、膝の完全伸展位までは難しく、内側広筋も収縮が難しい状況でした。
この結果は予測通りでした。

次に、今回のメインターゲットにしていた“下腿後面筋”で、特に「後脛骨筋」です。「長腓骨筋」はプラスアルファのターゲットでした。
まずは、足関節の背屈可動域を向上させ、距骨の後方すべりを出すために上記、2筋をダイレクトマッサージで緩めました。
悪いパターンが出来上がってしまっていたので、それを崩すためにマッサージしましたが、かなり痛いです(ごめんなさい)。
そうすることで、距骨の後方すべりが促通され、背屈可動域向上。直後に腓腹筋をストレッチしました。
特に、下腿の外旋が過度に出てしまっていたため、下腿後面外側部分のリリースはしっかりと念入りに行いました。

結果、膝は完全伸展位となり、Qセッティング時の痛みがなくなり、内側広筋も促通され、ASLRも10年以上ぶりに可能となりました。

勿論、荷重下での痛みはなく、歩行時痛も改善しました。

改めて姿勢制御パターンの改善のために軟部組織にダイレクトにアプローチし、一時的に「リセット」させ、良好なパターンを再教育させる。
とても勉強になり、かつホッとしましたw

↓↓↓↓↓ ご感想 ↓↓↓↓↓

高校生の時に、ひざの手術をして以降、仕事やスポーツで動きすぎると、すぐにひざが腫れて、痛みが出ていました。

今まで自己流でトレーニングをすることもありましたが、なかなか良くならないため、継続してトレーニングをすることができませんでした。

ある日、朝からひざが痛み、すがるような思いで、i soul worksに駆け込みました。

今までひさが痛いのは、太ももの外側の筋肉が硬いことが原因と思い込んでいましたが、実際は足首まわりの筋肉や、もも裏の筋肉が硬いことにより、ひざにねじれのストレスが生じていることが原因ということを初めて知りました。

ひざの痛みもなくなり、自主トレの指導も丁寧にして下さり、これからはひざの痛みに悩まされずにすみそうです。

ありがとうございました!何かあれば、また駆け込みます=3

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