『脚長差と姿勢のゆがみとインソール』

【はじめに】

一般の方がある程度理解できるように、また身体に携わる専門職の方には絶対に理解いただきたいという想いでまとめてみました。わかりにくく、不十分な点もあるかと思いますが、「姿勢」を見る上で非常に重要であることは理解いただけると思います。最後までご覧いただけると幸いです。

 

【脚長差は重要なのか】

脚長差とは簡単に言うと「左右の脚の長さが異なること」を指します。

脚の長さに左右差を認めることで何が起こるのか、どう問題となってくるのか、それらについて改めて考え、インソールによる介入の必要について述べたいと思います。

 

【誰しもある脚長差】

これまで300人以上の脚長差を確認してきましたが、左右の差がまったく無く、長さが左右一緒である方は1人もいませんでした。

どなたでも0.5cmは左右差を認め、1cm以上の左右差がある場合は、何かしらの問題(姿勢や動きの左右差による力学的ストレスの増大など)が確認されます。

また、脚の長さに左右差が少なく、姿勢全体の左右差も含め、限りなく左右差が少ない「ニュートラル(中間位)」に近い方は、姿勢や歩行などの動きが円滑で合理的な動きになってる方が多いです。

ですが、ヒトは必ず「左右差があるもの」として理解しておくことが必要です。

その左右差が大きくなればなるほど、いわゆる「姿勢のゆがみ」としてはっきりと表出されてきます。

そして、その姿勢のゆがみと脚長差には密接な関連があります。

 

【脚長差の分類】

大きく分けて、2つに分類できます。

1つは、「構造的脚長差」です。

これは身体の骨や関節構造そのものの左右差を指し、例えば、大腿骨や下腿骨(主に脛骨)の骨の長さが先天的に左右差がある場合です。

骨折による保存治療や骨接合術など受けたことで後天的に左右差が生じる場合もあります。

【画像①】下腿骨短縮による構造的脚長差

 

【画像②】大腿骨短縮による構造的脚長差

 

両者ともですが、骨の長さに左右差があることで、必ず姿勢全体の左右差が生じます。

ヒトは立って、歩いて、走って、しゃがんで、跳んでなどの動作を行う時、必ず頭部を正中化(地面に対してまっすぐの位置)しようとする反射(立ち直り反応)が起こり、姿勢を安定させようとする制御機構が発動します。

その反応が正常に起こるとして、左右の脚の長さに左右差を生じさせても頭部は正中を保ちます。

ですが、脚長1cmの差を身体のどこかの機能を過剰に使うことで調整していることになります。

それがどこであるのか、どの機能を使って調整するのか、それは人それぞれ異なる反応を示します。

その反応の一例である【画像③左図】は、1cm長くなった分を「膝を曲げること」で調整しています。

膝を曲げることで、骨盤の高さの左右差が少なくなり、脊柱も床面に対しまっすぐに近い位置をとることができます。

それによって頭部も正中位をとることになります。

 

【画像③】
左図:膝による姿勢調整
右図:脊柱による姿勢調整

 

【画像③右図】は、「脊柱の側屈」で調整しています。

膝を曲げない分、骨盤が高くなり、脊柱を側方に曲げること(側屈)で頭部を正中位に調整しています。

いずれ立位姿勢の様子となりますが、大切なのはここから歩いて、走ってなど動作へと必ず移るということです。

片脚だけ、膝を曲げて歩く、また脊柱を側方に曲げたまま歩く…それだけで膝や脊柱のある部分に負担がかかることは安易に想像がつきます。

一度、片膝だけ曲げてみてください。

そうすると曲げた方の骨盤は下がります。

そして頭をまっすぐに保とうとすると脊柱が曲がり、肩の高さに左右差がでるはずです。

それが「姿勢のゆがみ」であり、そのまま動き続けるといろいろな部位に違和感や不快感を感じることになり、左右のバランスが崩れることになります。

 

そして、もうひとつの分類は「機能的脚長差」です。

これは、関節の肢位を変えることで脚長を変化させます。

例えば、足の後足部である距骨下関節にその機能があります。

距骨下関節は回内と回外という動きがあり、回内は脚長を短縮させ、回外は脚長を延長させます【画像④】。

【画像④】足部肢位の違いによる機能的脚長差

 

骨盤にもその機能があります。

寛骨の前傾と後傾です。

寛骨は仙骨と隣接しており、左右両側にある寛骨は相対的に前傾およひ後傾の差が生じます。

寛骨の前傾により脚長は延長し、寛骨の後傾により脚長は短縮します【画像⑤】。

 

【画像⑤】寛骨の肢位による機能的脚長差

 

画像⑤は、背臥位(仰向けでの寝ている姿勢)と立位を示していますが、専門職の方にはこの両者を把握しておくことをおススメします。

足部も骨盤も片側で1センチにも満たない変化ではありますが、左右がまったく逆の肢位となることで1センチ程度の差を認めることもあります。

 

【脚長差と姿勢ゆがみ】

整体や接骨院などで「骨盤が歪んでますよ」と言われた方、おられると思います。

もし、そこで「骨盤の歪みを直しておきますね」と言われ、骨盤(仙腸関節)の調整をされた方、こんな質問をしてみてください。

「なぜ、骨盤が歪んでいるんですか?」

「骨盤のゆがみの原因はなんですか?」

そうなんです。

骨盤のゆがみ=左右差には必ず原因があります。

頭部の正中位をキープするため、構造的脚長差を補償するため、仙腸関節を安定または動きやすくするため、他にも挙げるときりがないのですが、多くの要因があります。

重要なのは、「ゆがみ」の根本的要因を追求することです。

骨盤のゆがみは、結果的に生じたゆがみであり、ある部分の機能や構造を補償した結果であるとなれば、そのゆがみを直してしまうことで逆に問題となる可能性があります。

問題が起きなかったとしても、すぐに元に戻ることになります。

元に戻した方が動きやすいと脳が判断すれば、またゆがみを作ります。

それが姿勢にとっていいからです。

ですが、「ゆがみ=左右差」が大きすぎるのは良くないです。

必ずどこかにひずみが生じて、腰痛や膝通などに発展する可能性が高くなります。

では、どうすればいいのか…。

「姿勢のゆがみの根本的要因を明確にすること」です。

先天的(生まれもって)な骨の長さの違いや変形性関節症や骨折による骨・関節性の過去または現在の障害による構造的脚長差が要因であることが多いです。

そのため、まずは骨・関節による左右差がないかを確認することが必要となります。

【画像⑥】下腿骨短縮による姿勢のゆがみ

【画像⑦】大腿骨短縮による姿勢のゆがみ

 

【画像⑥・⑦】はいずれも「構造的脚長差」による姿勢の左右差の増大を示しています。

この画像では、いずれも左の骨盤が下がり、左の肩が挙がり、右の肩が下がっています。

これが姿勢制御パターンの1例になります。

もし、前述した足部と骨盤の「機能的脚長差」を使って、この姿勢をなるべくまっすぐ(左右差のないように)保とうとした場合、どのような“ふるまい”をするでしょうか。

【画像⑧】足部の機能的脚短縮(左側)

 

【画像⑧】は、右の股関節の変形による短縮を認めました。

右の股関節の関節の狭小化(+大腿骨の短縮)があることで3センチ程度の右脚短縮があります。

「右下肢の長さに左下肢の長さを合わせる」という姿勢の調整を行っていました。

具体的な対応方法としては、

□ 左膝関節の屈曲+足関節の背屈

□ 足部の回内

これらによって、左下肢を短縮させて、右下肢の長さに合わせようとしています。

その結果、現状では右股関節の痛みより、左足底の痛みが強くなり、歩行時痛が生じていました。

時々、膝も痛くなるとのことでした。

このように脚長差があることで無意識のうちに「姿勢の調整」を行っています。

しかし、左下肢への負担(力学的ストレス)が繰り返しかかることで患側ではない健側にも問題が生じてくることが多々あります。

この場合、間違いなく「左下肢の補高」が必要となります。

 

【脚長差とインソール】

これまで、腰痛、膝痛、肩こり、股関節痛、足部痛などでお困りの方をみさせてもらいましたが、構造的脚長差に対して、動的な姿勢(歩行など)の中でその差をインソールにて補正することで、すぐに痛みや不快感を変化させることができた経験が多々あります。

1センチの左右差が不快感を生みますが、0.5センチ変えるだけで姿勢も動きも変化します。

骨盤や脊柱に歪み(左右差)があるからといって、ベッド上でそのゆがみを調整したところで、本当の改善にはつながりません。

まずは、踵にテーピングを重ねて貼ってみてください。

そして、歩いてみてください。

歩きやすくなる人もいれば、歩きにくくなることもあります。

テーピング一枚で変わってしまうほどヒトの身体には可能性があります。

簡単に良くすることもできますが、悪くなってしまうこともあります。

ヒトは姿勢や動作を行いながらも、常に安定性を維持しながら「姿勢制御」を行いながら活動しています。

インソールをそんな身体の土台である足部の機能を活性化させ、動きやすくも安定しやすくもなります。

足部を整えることで姿勢が整い、歩きやすく、走りやすく、パフォーマンスアップにつながります。

ただし、姿勢と動きに合ったインソールの形状を的確に評価でき、的確にその形状を作製できるかによります。

 

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↑↑↑当店で作製しているインソールについて説明させていただいてます。

脚長差の調整だけでなく、そこから更なるインソールの形状を決定する評価が重要となります。

 

今現在の姿勢の左右差がどこから始まったものなのか、どこから起因しているものなのか、それらを明確に評価した上で、的確なアプローチへとつなげていけば必ずいい方向へと変化すると信じています。

 

【最後に】

今回は、「脚長差」が要因で姿勢のゆがみが起こりうることについてまとめてみました。

我々理学療法士は、姿勢・動作の観察して分析した上で機能障害に対して評価・介入を繰り返し、改善していくことで日常生活活動やスポーツにおけるパフォーマンスをアップさせることが責務です。

まずは、骨・関節アライメントの評価がポイントにはなりますが、関節機能や筋機能、神経機能、内部機能など統合的かつ多角的に捉えていく必要があります。

学ばないといけないことが多いですが、学び続けるしかありません。

お困りのクライアント様を少しでも良くできるように、参考になれば幸いです。

そして、お困りの方がおられましたらお問い合わせいただければと思います。

お悩みに対して、少しでも解決に導けるよう考えさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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